第17章

山口玥は心臓がドキンと鳴った。

望月琛がこんなにも直接的だなんて!

山口玥は困ったように望月明に助けを求める視線を送るしかなかった。

その様子を前田南は見逃さなかった。

望月琛があれほど強気では、この二人だけでは自分を連れ出すことはできないだろう。

彼女は憂鬱になった。

望月琛のもとから離れられないとなると、彼女は望月琛のそばに閉じ込められるのだろうか?

「琛。昨夜すでに話は済んだはずだろう?」

望月明は唇を引き締め、沈んだ表情で望月琛に近づいた。

彼は兄ではあるが、望月家を仕切っているのは望月琛だ。

しかも望月琛は一度言ったことを曲げず、誰のことも気にかけない。

望月...

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